蓄電池導入に伴って登場する「売電」とは？

公開日:2023/10/15　　最終更新日:2023/07/04

蓄電池導入にあたり売電という言葉が登場します。太陽光発電が急速に設置された時代に、売電する家庭や企業が多く続出しました。現在でも、政府は太陽光発電の導入を勧めています。太陽光発電を検討されている方も多いのではないでしょうか。そこで登場する売電とは一体何なのか、売電は今後必要なのかについて解説します。

そもそも「売電」とは？
売電価格が下降気味？その原因とは
大切なのは「売電」より「自家消費」？
まとめ

そもそも「売電」とは？

売電は、屋根の上などに設置した太陽光パネルによって生み出した電力を、電力会社に買い取りしてもらう仕組みです。自宅で生み出した電力が必要量以上だった場合、使わなかった残りの電力を買い取ってもらうわけですが、それには手続きが必要となります。売電は2009年から買取制度が開始されました。

経済産業省資源エネルギー庁で買取価格が一律に定められており、2012年からは、10kWh以上の設備には全量売電が制度化されました。そのため、一部の工場や企業では屋根の上に太陽光パネルを設置する会社が急激に増加したのです。

売電は得なのか？

結論、売電は状況によって損得が変化していきます。しかし、今後は蓄電池の導入が望ましいとされている傾向があるのです。過去と比べてFITによる収益化が難しくなったものの、電気代が高騰し、太陽光発電の精度が向上したことにより、初期費用が安価になりました。電気代が高騰している近年、長期的にみて価値が高いといえます。

FIT（固定価格買取制度）とは？

FIT（固定価格買取制度）とは、太陽光発電も含まれる風力発電などの再生可能エネルギーを、電力会社が定められた価格で一定期間買い取りする義務化された制度です。当時は、温暖化やエネルギー問題解決などのために、再生可能エネルギーを普及するために定められていました。

FITが良いとされている理由とは？

FITにより、太陽光発電で発生した電力を電気会社が買い取るため、太陽光パネルを設置しておけば、お金を稼げるとされていたため、太陽光発電投資という言葉まで作られました。当時は、石油や天然ガスを燃やして発生させる電力よりも、太陽光発電で発生させた電力の方が高価で売れたことが良いとされていた理由です。

売電価格が下降気味？その原因とは

売電価格が高価で買取されていたのは、今から10年以上も前のことです。現在では、売電価格は下降しました。その原因を解説します。

電気料金が高騰したため

電気代が高騰したのには、燃料価格の上昇や再生エネルギーの移行、需要と供給のバランス、設備の老朽化、税金や規則の変更などと様々な理由があります。

ここで注目すべきポイントは、再生エネルギーの移行です。再生可能エネルギーの普及や設備の整備に伴う費用が上昇し、それが電気料金に反映されることがあります。電気そのものではなく、消費電力に比例して上乗せされる料金の単価が年々上がった結果、電気代の負担も上がりました。

太陽光発電が安価になったため

太陽光発電の設置にかかる費用が10年以上前と比較して、太陽光パネルの品質が上がり、かなり安価になりました。工事内容によって費用に誤差はあるものの、設置費用の価格は一定になっています。

つまり、設置が容易になったことで売電の価格も安価になったのです。ですので、電気代の負担が上がり、売電の単価が下がったことで、自宅で電力を発生させた方が得になる仕組みになっているということです。

FITの制度が変更されたため

FIT制度によって、太陽光発電を設置していない家庭に対してフェアになるよう変更されました。FIT制度によって、買い手である電気会社の負担が大きくなったため、売り上げを上げるべく電気代を上げる結果になりました。

これにより、太陽光発電で電力を発生させている家庭はよいものの、太陽光発電していない家庭にとっては、負担が大きい制度となってしまいます。そのため、FIT制度が改善され、電気の買取価格が減少したのです。

大切なのは「売電」より「自家消費」？

結論からいうと、これからは自家消費をおすすめします。これは、制度が自家消費を勧めている傾向があるためです。では、自家消費を勧める理由を詳しくみていきます。

自家消費の方が長期的に見て電気代がお得

近年、燃料費の高騰や原発の廃炉費用負担などの影響で電気代が値上がりしています。電気は生活に必要不可欠ですが、費用は極力抑えたいのが利用者の本音です。太陽光発電により自家消費に回すことで、長期的に電気代をみると費用が抑えられます。

政府の支援策を活用できる

多くの国や地域で自家発電の促進策を活用できおすすめです。政府は再生可能エネルギーの導入を奨励し、補助金や税制上の優遇措置を提供しています。これによって、自家発電の導入コストを削減して、将来的に費用を抑えられます。

災害時でも安心できる

自家発電の魅力は、電力会社に依存せず電力を供給できることです。停電時や災害時においても安定した電力供給が可能です。自家発電装置に蓄電池を組み合わせることで、夜間や天候の悪い日でも電力を利用でき、お得で安心といえるでしょう。

まとめ

FIT制度の改善により売電による利益は困難となりましたが、電気代の高騰や太陽光発電の導入コストの低下から、長期的に得になるとご理解いただけたのではないでしょうか。また、太陽光発電による自家消費は、政府の支援によりさらに設置コストを抑えられますし、災害時でも安心して使用できるものです。これらから、売電がどうこうというよりも、自家発電で安心して使える電力であり、家庭の負担が抑えられ、家計に優しいといえるのではないでしょうか。