蓄電池はどうやって電気を溜めているの？蓄電池の仕組みとは

公開日:2022/01/15　　最終更新日:2022/01/06

政府の制度導入や普及推進の影響で導入が広まった蓄電池。節電効果や非常時の備えとして心強く、家庭用でも需要が高まっている蓄電池ですが、どのような仕組みで電力を溜めているかご存知ですか？蓄電池を導入する前に、蓄電池のメカニズムを知っておくことは大切です。今回は蓄電池の役割および構造をご紹介します。

蓄電池はどんなときに役立つ？
なぜ蓄電池は充電・放電できるのか
蓄電池の種類によって仕組みは変わる

蓄電池はどんなときに役立つ？

家庭用蓄電池は、実は多くの役割を担っています。たとえば「電気代の節約と均衡を調整する」「非常用の電力になる」などです。これらの事項について1つずつご説明していきます。

まずは「電気代の節約と均衡を調整する」役割です。蓄電池は、電気代の節約や電力会社からもらう電力を削減できます。充電したい時間が選択できる蓄電池は、電気代が安い昼間などを充電時間にすれば、電気代の節約が可能です。また、電気供給量の多い時間帯に蓄電池を使用すれば、電気代の節約だけでなく、電力会社からの電力をバランスよく普及できるようになります。

次に「非常用の電力になる」です。充電によって蓄積された電力は、停電時などの非常事態に力を発揮します。日本は災害大国と呼ばれるほど自然災害が多く、とくに地震などでは停電をともなうことが多いです。

電気を多く使用する現代では停電は生活に大きな支障をきたします。災害時の停電に対応できるように、国としても蓄電池の普及を促しており、補助金制度を設けるなどの対策を打ち出したほどです。このことから、蓄電池は災害などの非常事態に対応できる電力であることが伺えます。

なぜ蓄電池は充電・放電できるのか

次に、電気代の節約や電気量を整えるうえ災害時にも強い蓄電池が、どのように電気を生み出し蓄積させているのかをご説明します。

蓄電池は凹凸の乾電池と違い、通常正・負極の異なる金属と電解液が作用しあって放電します。負極がイオン化され正極に流れ出て電気が生まれますが、放電をし続けると負極が溶け切り電解液に溶け出さなくなり、放電が終了します。充電の際は電流が正極から負極に流れるなど、放電とは逆の方法で電力を蓄積させます。

以上のような化学反応を発生させながら蓄電池は充電・放電をしているのです。

蓄電池の種類によって仕組みは変わる

先ほど蓄電池の役割をご説明しましたが、実は蓄電池は種類によって求められる役割が違います。素材が異なる蓄電池はそれぞれに最適な役割があるため、蓄電池を使用する場合は目的に合った蓄電池を選択することがおすすめです。蓄電池の種類は「鉛蓄電池」「ニッケル水素電池」「リチウムイオン電池」「NAS電池」の4つあるため、1つずつご説明していきます。

まずは「鉛電池」です。蓄電池の中でも古株である鉛蓄電池は、エンジン・キャンピングカー・日常使いの船舶・ゴルフカートなど電気を使う車両のバッテリーや非常用の電源・照明などに使用されています。この用途で使われる鉛電池の素材は、正極は二酸化鉛、負極は鉛、電解液は希硫酸です。

次に「リチウムイオン電池」です。蓄電池の中では比較的小さいタイプの蓄電池で、同じく小型なニッケル水素電池に比べて電圧も高いです。この蓄電池は主に携帯電話やノートパソコンなどの日常で使用する電子機器のほか、電気自動車やハイブリット車などのバッテリーにも使用されています。リチウムイオン電池の素材は、正極はリチウムが含まれる金属酸化物、負極はグラファイト、電解液はリチウム塩が溶け出した有機電解液を使用しています。

次に「ニッケル水素電池」です。蓄電池の中では比較的メジャーで小さいニッケル水素電池は、エレベーター、ドライブレコーダーやその他自動車の電力関連部品などに幅広く使われています。素材は、正極はオキシ水素化ニッケル、負極は水素吸蔵合金、電解液は水酸化カリウム水溶液です。この蓄電池は水素という気体を電池に使えるという特徴があります。

最後に「NAS電池」です。この蓄電池は日本が開発した蓄電池で、欧米を中心に世界各国で使用されています。リチウムイオン電池などと同様小型なタイプですが容量が大きく寿命も長いうえ、蓄電池内のエネルギーが密集していることから需要が高いです。NAS電池は主に太陽光発電・風力発電のような自然エネルギーを集める役割を担っているほか、非常時の電力や節電目的の電力としても使用されています。素材は、正極が硫黄、負極がナトリウム、電解質がファインセラミックを使っています。

このように、同じ蓄電池でも素材が異なると使用用途が違ってきます。蓄電池を選ぶ際は、最適な蓄電池を選べるよう用途を明確化させましょう。

今回は蓄電池の役割と仕組みについてご紹介しました。蓄電池が家庭にあると、電気代の節約ができたり非常時に活用できたりと、多くのメリットがあります。4種類ある蓄電池はそれぞれ用途が異なるため、各蓄電池の適した使い方がおすすめです。蓄電池を購入する際は、家庭での使い方を考慮したうえで最適な蓄電池を選びましょう。